【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
夏休み。
暇だったので、里帰り。
すると、お願いがあると柚香から連絡があったので、今、こうして、俺の部屋で彼女と向き合っている。
「ちょっとした、お願いなんだけど」
彼女は本気で申し訳なさそうに、
「暫くさ、ここにおいてくれない?」
と、言って、頭を下げる。
「え?」
勿論、これには驚かざる得ない。
「いや、無理ならいいの。何とか、伝てを探すから……逃げ切らないと、面倒だし。んー、沙耶は相馬といるし、最悪、ホテルで……」
「待て!なんの話だ?逃げ切るって、なにから?」
「母親から」
バッサリと、言いきる柚香。
「母、親……?」
「ん。最近さ、お金貸してって言いにくるんだよね。恋多き人だけど、金だけは貸せない」
そう言えば、沙耶が言っていた。
『柚香、学生じゃん?バイト、する時間ないじゃん?生徒会とか、部活とかで。あの子さ、遠くにすむ父親からの仕送りで生きてるんだけど、親に借りは作らんって言って、使った金額のぶん、全部メモってんだよね』
両親が離婚し、母親は男と消え、父親の元に残った柚香はある日、置いてきぼりにされた。
『役所が見つけてくれなきゃ、危ない状況でさ。本来なら、ダメなんだけど……私の父さんと役所が話し合って、柚香の独り暮らしを認めてもらったの。勿論、父さんが責任持って見ると言うことを条件にね。その日から、柚香はしっかり者。私の面倒も見てくれるし、何より、私が一番、信頼している人よ』
両親に、借りを作らない。
親の勝手で、捨てられたのに。