【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


「大丈夫。だから、来い」


誰かに縋るのは、嫌だった。


私が死んだあとに、悲しまれるのが嫌だった。


だから、頼れなかった。


でも、


「……っ」


でもね。


「……よしよし」


誰かにずっと、こうやって、抱き締められたかった。


生憎、両親に抱き締められた記憶はない。


いつも、春ちゃんや朝陽、アイラが抱き締めていてくれた。


母さんだって、抱き締めてくれることはある。


全くない訳じゃない。


ただ、母さんは過去におかれていた状況から、抱き締めるという行為が苦手なだけだ。


父さんは、いつも、そんな母さんを抱き締め、愛す。


私も、同じように。


相馬の腕に飛び込むと、優しく、抱き締められた。


労うような、優しい声。


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