【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「……薫たちの、ところへ行こう」
話してくれる、彼はそう言った。
「ん……」
ぐちゃぐちゃになってしまった顔は、上げられず。
私はとりあえず、頷いた。
そんな私を、強く、抱き締め。
合わさる額が、温もりをくれる。
交わる呼吸が、熱を生む。
抱き締められるまま、私は身を委ねた。
「帰るぞ」
すると、問答無用で抱き上げられ。
「……また、軽くなりやがって」
ハッキリと見えた、彼の顔。
不機嫌なそれは、抱き上げられたことで、近くて。
「…………歩ける、よ?」
絞り出すように、そう言えば。
「阿呆。そんな震えたまま、どうやって、歩くんだよ」
呆れたように、返される。