【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「謝ることはないだろ?でも、発作を止めるためにも、眠ってほしいんだ」
「…………死んだり、しないかな」
「死なせない。お前の息が止まったら、また、俺の命を分けてやる。俺のそばで、お前を死なせてやるものか」
「……」
「だから、眠れ。な?」
頭を撫でてやると、沙耶は、全身から力を抜く。
「ありがと……」
沙耶の体を抱き寄せると、沙耶は俺の服を握ってきた。
迷子の子供が、親を見つけたように。
彼女は、深い眠りに落ちていく。
「……見違えるな」
そう言って、クスリと笑ったのは、中等部校長、楪千夜(ちよ)
速水さんの娘であり、焔棠に絶対的忠誠を誓っている人間だ。
「相馬が、女を大事に抱き締めるだなんて。前世で関係あるから、とかではないだろう?惚れたのか?」
鋭い彼女は、目を細め、探ってくる。
だから、素直に頷いた。
「ああ」
隠したって、良いことないのは知っているから。