【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


「謝ることはないだろ?でも、発作を止めるためにも、眠ってほしいんだ」


「…………死んだり、しないかな」


「死なせない。お前の息が止まったら、また、俺の命を分けてやる。俺のそばで、お前を死なせてやるものか」


「……」


「だから、眠れ。な?」


頭を撫でてやると、沙耶は、全身から力を抜く。


「ありがと……」


沙耶の体を抱き寄せると、沙耶は俺の服を握ってきた。


迷子の子供が、親を見つけたように。


彼女は、深い眠りに落ちていく。


「……見違えるな」


そう言って、クスリと笑ったのは、中等部校長、楪千夜(ちよ)


速水さんの娘であり、焔棠に絶対的忠誠を誓っている人間だ。


「相馬が、女を大事に抱き締めるだなんて。前世で関係あるから、とかではないだろう?惚れたのか?」


鋭い彼女は、目を細め、探ってくる。


だから、素直に頷いた。


「ああ」


隠したって、良いことないのは知っているから。


< 234 / 759 >

この作品をシェア

pagetop