【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「愛してる」
この恋に幸せな結末が用意されていなくても、俺達は互いに溺れ合う。
触れ合えることは泣きたいぐらいに幸せで、離れたくない。
そう、思ってしまう。
誰かを犠牲に成り立っている愛だと知っても、俺達はこの想いを止められなくて。
止めたくなくて。
「夏翠?」
ほら、いつの時代でも、世界でも。
俺達は自分のことしか考えていない、身勝手な人間だ。
「もう……やめよう?」
夏翠の頭を撫でると、そんな声が発せられ、それは痛いくらいに静かな部屋に響いた。