【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


「夏翠?」


優しい声が降り注ぐ。


「もう……やめよう?」


幾千年の想い。ここに終止符を打ちたい。


「終わらせないと……また、犠牲が出ちゃう……」


沙羅と紅鈴は、言った。


『前世の罪は私達の罪だから、夏翠は関係ないよ』って。


それでも、他人事とは思えない。


「夏翠……」


「好きよ。飛鷹のこと……誰にも渡したくない、離れたくない、側にいて、笑い合っていたい。だって、《夏翠》としての初恋だもの……飛鷹は……」


間違いないって、心が叫ぶ。


私は月姫のときも、沙羅のときも、紅鈴として生きたときも……そして、今、飛鷹に愛される夏翠として生きていても、彼を、彼の全てを求めただろう。


月姫のときは、悲しみの結末だった。
沙羅のときは、別れの結末を取った。
紅鈴のときは、幸せになれる代わりに代償を払う結末を選んだ。
< 273 / 759 >

この作品をシェア

pagetop