【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


ならば。


《夏翠》として生きる私は、どこに行くのだろう。
紅鈴のように、生きるのか。


それとも、沙羅のように死を選ぶのか。


(……考えたくない)


幸せに浸っていたい。


月姫が恋を選んだせいで、犠牲は溢れ、もう、取り返しのつかない恋だとわかっていても。


それでも……


「飛鷹と共に生きていきたいと思うことは罪なのかな……?願っちゃいけないのかな?……私は生きたい……飛鷹と一緒に生きていきたい。死にたくない……」


どうか。


どうか、神様。


貴方が私たちを見ていると言うのなら、これ以上罰を与えないで下さい。


否、私が引き受けるから、愛する人を巻き込まないでください。


飛鷹が包帯の巻かれた手をこちらに伸ばしてくる。


心配するな、と言いたいんだろうか。
涙が頬を伝う。
飛鷹の手の暖かさ……生きている証。

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