【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「いや……」
「え?」
「死なないで!愛する人を喪うのは、もういや!」
脳裏に、甦る。
“私”を庇って、剣に貫かれた、燕鳳の姿。
「夏翠?」
「死なないで!」
“私”を守って、命を散らした瑛醒。
「死んだらっ……許さないから!」
馬鹿だ。
みんな、馬鹿だ――……。
私なんかを、救うなんて。
どうして、私を――……
「落ち着け、死なないから」
ポンポンと、頭を撫でられる。
「平気だ。このくらいでは、俺は死なない。だから、泣くな。泣いているお前を見る方が堪える」
この人は、いつの時代も、世界でも。
私を一番に、考える。
「……飛鷹は私のこと、好き?」
臥せっていても、笑ってくれる。
私の手を、しっかり握って……離さないと、言うように。
「好き……ではないな。……愛してるよ」
「私が、何になっても……っ?」
嬉しくて、涙が溢れる。
私が私じゃなくなって、飛鷹に嫌われるのが怖かったのに。
それでも、私を愛してくれるんだ。
「例え、どんな姿でも愛すよ」
彼が認めてくれるならば。
後悔なんてない。
「……私も愛してる」
一言、呟くのが精一杯。
「大好き……」
そう呟いて、夏翠は闇に引き込まれていった。