【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
巫女を危険から遠ざけるため、柚香たちを連れ、外が見える部屋に入り、全員を見ていたときに現れた瀧。
彼は、昔と変わらずに、傍には恋人をつれていて。
流霞や彩佳の生まれ変わりだと思えるその女の名は、弓、というらしい。
俺はそれに気づいて、すぐに隣を見た。
隣では、瀧の強さに感心している巫女たち。
「瀧、格好いいじゃん。弓ちゃんも、可愛い~」
その中で、素直な感想をのべる夕梨。
やはり、彼女に気づけと言うのは、無理っぽい。
そもそも、水樹が教えた記憶であり、持って生まれた記憶ではないから、魂の色を見分ける力はないらしい。
その為、素直な感想をのべることができているのだ。
知らない方が幸せ、か……
夕梨に教えてやるべきか悩んで、考え直す。
頭のなかで響いたのは、俺を思って言った、姉の言葉。
(知らぬが仏って、言葉もあるしな)
無理に教えることはないだろうと、足を止め、振り返る。
柚香に敷いて貰った布団の上では、沙耶が心地よさそうに眠っていて。
ホッと、安堵する。
沙耶は、死なせない。
愛した女を二度も失ってなるものか。
必ず、守り抜く。
だが……沙耶は、自分を後回しに人を気にかける奴だから、優しいからこそ傷つきやすいから、沙耶を死なせないと約束した俺は、他の巫女たちを守り抜かなければならない。
傷を隠すのがうまい最愛の人を守り抜くには、まず、最愛の人が大事にする人を守り抜くことが最善である。