【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「……本気で、好きになっちゃった?」
外のことをほったらかしで、俺は沙耶に触れる。
前世からの親友の話より、眠る、最愛の女に触れたいんだ。
すると、横から微笑しながら、柚香が腰を下ろした。
「……ああ。堕ちちまった」
沙耶の幼なじみで、親友第一号の柚香。
彼女は……
「ふふっ、そっか。沙耶が最初、相馬と寝たって言ったとき、沙耶のお兄ちゃんたちに相談しなくてよかった」
腹黒い。
笑っていて、慕いやすく、取っ付きやすい人間で。
明るいから、人が集まるタイプで。
生徒会長ということもあり、クラスの中心にいる彼女に、みんな、最初は訊ねる。
どうして、沙耶みたいな、ハブられている人間と一緒にいるのかと。
それを言われると、柚香は決まった答えを返す。
『沙耶は悪いことをしていないし、ハブる理由もないからよ。何より、私は沙耶に救われたから』
沙耶のためなら、何でもする。
それが、柚香の怖いところ。
「……そこは、全力でお礼を言わせてもらう」
柚香が本当に言っていたら、俺は今ごろ、この世にいなかった。
「じゃあ、どういたしまして」
俺のノリに乗った柚香は、ニッコリと笑みを深めて。
「沙耶を泣かせたら、すぐに、あんたを消してあげるからね?」
国内ほぼトップの家柄の実質的支配者に、この台詞……明らかに、沙耶の友人感がにじみ出ている。
沙耶と柚香が親友でいるのは、こういうところで似ているからだろう。
お人好しで、意地っ張りで、それでいて、大切なものはとことん守り抜く。
それが例え、自分を犠牲しても。