【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


「……柚香」


いつだって、沙耶が楽しそうに、嬉しそうに、話す相手が柚香で。


どんなに辛いときも、柚香か側にいてくれたんだと沙耶は笑った。


「なに?相馬」


沙耶は、可愛がられ上手とは言わない。


どちらかというと、孤独なタイプで。


陰で、人のために行動するタイプだから、良いところが目立ちにくく、虐められやすい。


多分、桜みたいなタイプを可愛がられ上手と言うのだろう。


いつだってニコニコと笑い、何されても素直に喜ぶ。


(まぁ、怖いんだがな)


笑っているぶん、何を考えているのかわからない。


桜の笑顔に癒されている男たちを見ながら、陰でよく、笑ったものだ。


騙されている、って。


だからと言って、桜が悪い奴というわけではない。


桜も、腹黒いのだ。


だから、絶対、沙耶と柚香とは、一生涯の親友となる。



「……沙耶と、友達でいてくれてありがとな」


今なら、心から言える。


沙耶を独りにしないでいてくれて、ありがとうって。


「……なぁに?それ。私は沙耶が大好きで、一緒にいたいから、一緒にいただけよ?お礼を言われることは、何にもしていないわ」


柚香はショートの髪を揺らしながら、好戦的に微笑んだ。


「だから、沙耶を泣かせる奴は容赦しない」


「……」


「泣かせないでよ?私の大切な親友」


「……肝に命じておく」


「宜しい」


こんな親友がいたから、今の沙耶がある。


柚香を嫁にとることになる千歳は苦労するだろうなと、俺は心中、笑った。


その時。

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