【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
コンコンッ……
「相馬?今日も連れてきたよ」
微笑んで扉を開けた、直樹さん。
彼の後ろに続く、看護師さん達は二つのベビーベットの中にいる子を見て、笑いながら、沙耶の近くにつけてくれる。
そして、会釈して、看護師さんたちは、病室から出ていった。
「どんどん、大きくなっていく。本当、子供って、成長が早いな」
「そうですね」
「……もう、二ヶ月、だろう?」
直樹さんは沙耶に目を移し、そう言った。
沙耶には、二つの点滴が繋げられている。
一つは水分。
もう一つは、血。
「相馬、後で採血をするから。時間ギリギリになったら、声をかけなさい」
沙耶の身体の中に、入れられるのは、俺の血。
沙耶の命が繋がるように、最後の秘策。
「はい、ありがとうございます」
本当に、直樹さんにはお世話になっている。
当主との戦いが終わり、2ヶ月。
沙耶が眠りにつき、2ヶ月。
俺は、枕元に書かれた名前を見て、微笑した。
「あー」
俺を見て、笑う娘。
「茅耶(かや)」
抱き上げれば、端から見て分かるくらいに笑顔になる茅耶は4月1日に生まれ、一方で……
「悠哉(ゆうや)……は、まだ、寝てるな」
寝てばっかりいる、茅耶の双子の兄の悠哉は3月31日に生まれた。
沙耶が、身を犠牲にして生んだ子供……
「……早く、抱いてもらえるといいな」
茅耶にそう言えば、茅耶は沙耶にそっくりな笑顔を見せてくれた。