【完】☆真実の“愛”―君だけを―2






「っ……はぁ、」


熱を交わし合い、気がつけば、真夜中。


夜空では月が高く昇り、煌々と輝いていた。


横にいる沙耶は、ぐったりと眠りの世界に落ちていて。


夜ご飯はそのまま、机の上に放置されていた。


「……片付けねぇとな」


このまま放置しておくのもあれだし、俺の普段の生活リズムじゃ、そろそろ起きる時間である。


「……」


午前、4時であるが。


仕事をするためとはいえ、健康のためにも、もう少し、寝た方がいいのか……


ベットから立ち上がり、沙耶に薄いタオルを着せる。


頭を撫でてやると、沙耶が伏せていた顔が見えて、その顔は苦しげに歪んでいた。


「……沙耶?」


名前を呼んでみるが、起きてはいないらしい。


「っ……ううっ……」


胸をかきむしり、息苦しそうで。


「……な、さい……」


「え?」


「ごめんなさい……」


沙耶は、謝る。


誰に、かなんて判らないが、ただ、涙している。


それが、沙耶の異常な様子なら、まだ、よかったのに。


あそこまで、大きな不安を抱え、押し潰されかけているなんて。


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