【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


「……でも、お前らは仕えてきたんだろ?その……“姫”に」


「ああ。天界で“姫”に仕えるのは、国で一番優秀な皇子が条件で……俺らは、容姿、才知ともに完璧だったんだと」


あれは、一儀式として扱われる。


天帝から、初めて命ぜられた仕事がそれだった。


「……滅茶苦茶な女だったよ。破天荒で、我が儘で、泣き虫で……本当、燕鳳と生きるって言ったとき、またか、この破天荒姫がって思ったからな」


「……破天荒か……俺は、燕鳳の記憶がないからな……でも、燎飛の記憶が教えてくれる。月姫の二度目の生まれ変わった姿……紅鈴が、自分のことについて語る姿が頭に浮かぶ」


普通の若者で。


兵士で。


月姫を助け、月姫の我が儘で傍にいることになり、一緒にいるうちに愛してしまった月姫の我が儘の一番の被害者である、共犯者。



「懐かしいな……」



そう、飛鷹は呟く。


優しげな瞳は、紅鈴を思い出しているらしい。




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