【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


「フッ、落ち着け。別に、なにもしてねぇから」


「あ、いや、そうじゃなくて……本当、ごめ……「あー、腹へったー」……」


何について謝るとかは横に置き、とりあえず、再び、謝ろうとすると、その言葉は遮られた。


相馬は立ち上がって、キッチンの方へと歩いてく。


「……沙耶、俺は謝られたくて泊めているんじゃないし、世話しているわけでもないよ。そもそも、世話っつーか……」


相馬について行くと、相馬は私に背中を向けたまま、そう言った。


(……え?)


謝られたくて、泊めているんじゃない?


いや、そりゃ、謝るために、泊めて貰っているわけでもないけど……


私はただ、混乱して、相馬の仕事を妨げたことに対して、謝りたいだけだ。


夢だとわかったとき、そばに相馬はいなかった。


私が幻覚を見て、初めて、駆けつけてくれた。


眼鏡をかけたまま……恐らく、仕事をしていたように思う。


最近、誰もいない家で、よく起こす症状。


人が駆けつけてくれたのは久しぶりで……よく、覚えてる。


『明日、全てを話してくれよ』


全てを話すと、約束した。


朝陽の事も、アイラの事も……全てを漏らさず、ハッキリと話すと決めていた。


狂わせた分、それも謝罪しなければ、と。

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