【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
元々、その家は父さんの持ち物で、朝陽達が使っていたから……私たちはまた、一緒に暮らし始めた。
京都に住んでいたときのように……また。
『沙ー耶っ!』
勇兄ちゃんは、とっても可愛がってくれた。
だから、私もなついてた。
たまに発作を起こしても、朝陽が対応してくれたし、朝陽もたくさん笑って、相手をしてくれた。
『良いか、沙耶。自分の身は、自分で守るんだ。その為にも、強くならないとな』
『……つよ、く?』
『ああ。人を守れる優しさを、身に付けないと』
朝陽の、グシャグシャと撫でる癖が好きだった。
心地よくて、抱き締めてくれると、暖かくて。
アイラに抱き締められると、優しい香りがして。
『沙耶、お菓子を食べましょう?』
叔母といっても、全然見た目が若いもんだから、お姉ちゃんみたいに慕っていた。
そんな中で、私は育った。
両親が忙しくて構って貰えなくても、私には朝陽とアイラと勇兄ちゃんがいた。
大兄ちゃんは、私のことを嫌っていた……というか、どういう封に接して良いのか、わからなかったんだと思う。
いとこ同士なのに、同じ人を“お父さん”って、呼ばなくちゃならなくて。
複雑だったんだと思う。
大兄ちゃんはずっと、春ちゃんと一緒にいたから。
今で言う、二人の“依存した”時らしいよ。
11歳は。