【完】☆真実の“愛”―君だけを―2



『大樹、どこに行く?』


『春んとこ』


『気を付けろよ』


『おう』


年を重ねる度、私が大きくなる度、大兄ちゃんは家を空けた。


そして、それに付き合って、勇兄ちゃんも姿を消し始めた。


それでも、大兄ちゃんと勇兄ちゃんのことを心配しながらも、放っておけたのは、毎日欠かさずに写真付きで、報告してくれる春ちゃんがいたからだと思う。


そう考えると、春ちゃんは私たち家族を繋いでいてくれた人だ。


『大樹と勇真は、京都にいるらしいぞ』


手紙やメールを見ながら、笑っていた健斗と、呆れていた朝陽。


お母さん……ユイラも、アイラもそんな感じで。


このまま、平和だったのなら……良かったのに。

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