【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「だから、アイラを育て、ユイラを捨てた。お母さん……ユイラは、施設に入れられたけど、その施設は藤島グループが経営しているものでね、時々、アイラが遊びに行ってたらしいわ。お父様の命令で」
見せつけるために。
お前とアイラは、これほどまでに違う存在なのだと。
「そんな中で一番、幸いだったのは、アイラがあの人の思い通りに黒く染まらなかったことね。アイラの我が儘で、アイラつきの護衛となった朝陽がいてくれたかもしれない。朝陽は、私にいろいろなことを教えてくれた。人として大事なことや、最低限の礼儀……父さんがいないときは、朝陽が。父さんがいるときは、皆で。私は、そんな環境で育った」
お嬢様として生まれた私は、間違いなく、お嬢様として育てられた。
甘やかされ、不自由などなく、普通から見れば、異常なくらいの過保護な人たちに囲まれていた。
「アイラは、なにも知らなかった。だからこそ、ユイラの存在を、処遇を知ったときには、大泣きしたそうよ。ごめんなさい、ごめんなさい、って」
アイラにも、不自由がなかった。
望めば、何でも手に入った。
一方で、ユイラは強いたげられ、弄られ、絶望に追い込まれていった。
「どうして、そんなことになったのか」
誰もわからなかった。
どうして、あの人はそんなことをしたのか、なんて。
「今、わかることといえば、あの人は自身の欲の為だけにまた、私達を追い詰めているということだけ」
それ以外、考えられない。
今まで、そう考えを信じてきた。