【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「……お前は、それで良いのか?」
その言葉に顔をあげる。
気がつけば、すでに、車は駐車場に止められていて。
「恨みたくない、そう思ってるんだろ?なら、調べてやろうか?」
目の前で慈愛の目を向けてくれる、相馬。
私の死を、一番、阻止しようとしてくれている人。
私は、この人を近い将来、裏切って消える。
その為にも、情を移すべきではないと分かってる。
なのに、側にいてほしい。
「……調べるって、どうやって?」
わかっていたけれど、尋ねてみた。
すると、彼はニッ、と笑う。
「俺を、なんだと思っている?」と。
「……この国の、屈指の権力者」
目の前にいるのは、ただの友達ではない。
それほどまでに、すごい人間である。
「お前が望むのなら、何でもしてやる。さぁ、望め。お前は、俺になにしてほしい?」
あの人の心の内はわからない。
けど、今は。
「沙耶」
私の名前を呼ぶ、この人の真意が計り知れない。
「……本当に、調べてくれるの?何でも?」
「ああ。できる限り、だがな」
「……じゃあ」
調べてほしいことは、沢山ある。
私は、この人に託しても良いだろうか。