【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


過ち……あれを、過ちと呼んで良いものなのか。


俺には、炎樹には、分からなかった。


燕鳳と恋をし、生きていきたいと望んだとき、月姫にのし掛かったのは、“姫“の責任。


”滅“と”蘇“をもつ、”姫“の責任。


けど、そんなものよりも……まずは、人の死について、月姫は知ってしまった。


だから、仕方がなかった。


彼女の願いも、わからなくはなかった。


”どんなに愚かなことであっても、妾は、人を救いたい“


人間が、お互いに殺し合うことはあってはダメだと、彼女は言ったんだ。


だから、俺達も協力した。


頼りない、”姫“を一人にはできなかったのだ。


月姫の記憶で見た、彼女がすべての責任を放り出す瞬間。


そして、唯一の息子に懺悔するときの記憶、想い。


それらを見てまで、俺らは月姫の選択を責められなかった。



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