【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
沙耶がうまく、相馬のもとに行ったことを聞いてからというもの、何故か、居座っている。
「……実家、帰れ」
「……家、誰もいないから」
神出鬼没のような奴は、その報告に代わりに来た日以来、ここにいるのだ。
別に、部屋は多いから良いのだが。
「寂しいじゃん?静かな部屋に、ずっと、一人でいても」
「何をバカなことを。三十路のおっさんが……」
「三十路じゃない」
「じゃあ、成人男性がいう台詞やない!」
「……京子は、厳しいなぁ」
のらり、くらり。
ずっと、こんな感じで会話を濁らせられ、不愉快極まりなく思っている。
「―京子さま、お電話でございます」
障子の外から伝えられた言葉。
電話がかかってきたこと、それは、私をこの場からとりあえず、一回、退出させてくれる良い理由となった。
だが。
その電話は……可愛い義妹からの、SOSだった。