【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「えっ、お金持ちって、そんな感じなんですか!」
「そうよー……あ、雨が降ってきたね」
音が聞こえるほどに、雨が降る。
「梅雨と考えれば、当たり前の光景か」
雨は嫌いだ。
でも、雪はもっと嫌い。
だって、朝陽の命を奪ったから。
「ところでさ、私のことは沙耶で良いから。本気で。さん付けとか……恥ずかしくて、なんか、学校に来るのが……」
「恥ずかしいですか?」
「敬語も良いから。私も、名前で呼ばせて貰うから……ね?」
様付けは、しょっちゅうされる。
でも、さん付けはない。
「えーと、じゃあ……沙耶?」
「んー?なあに?」
名前を呼ばれたので、微笑む。
「黒橋沙耶と白橋沙名って、名前似てるよね」
ふと、楓がそんなことを言った。
「……言われてみれば」
プリントに記入された名前を見、私達は笑いあった。