【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「相馬、ほら」
甲斐に手渡され、俺は封筒の中を覗く。
沙耶と最後にあった五月から、五ヶ月。
時は、10月だが……沙耶は、大丈夫だろうか。
会わなくて、また、生力が弱まっていないか。
そんなことばかり気にしてしまう俺は、相当である。
「……まさか、藤島のなぁ」
裏を掻かせると、汚いことがたくさん、ありふれていた。
そして、その元を辿って出てきたのは、一人の女性。
「藤島、美喜子(ふじしま みきこ)……」
現、藤島グループ総帥、藤島雷紀の母親……既に亡くなっているが、この人が全ての元凶で。
「藤島、多喜子(ふじしま たきこ)」
雷紀が溺愛し、ある場所に閉じ込めているという妻の女の名前。
だが、沙耶の祖母には、血縁上では当たらない。
正確に言えば、多喜子は雷紀の妹だからだ。
お互い、連れ子で出逢ったそうで。
多喜子と雷紀は義理兄弟であり、全く、血は繋がっていなかった。