【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
□沙耶side■



久しぶりに、姿を見かけた。


会いたい、抱き締めてほしい。


お腹に宿る子供について、相談したくて、ここまで来た。


けど、私の心は目の前の光景に抉られる。


ドレスアップした女の人は、相馬を見て、頬を染め、とても嬉しそうで。


自分の姿とは正反対なその姿に、相馬の笑顔に、やっぱり、彼の隣に立つのに相応しいのは、“お姫様”なのだと思い知る。


「…………あれ?沙耶?」


「あ……甲斐。久しぶり」


遠目に見るその光景は、何故か、沙耶の心を抉った。


本当に、深く、深く。


それが何故なのか、私にはわからなかった。

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