【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
―死ぬまで愛し続けてくれないのなら、死ぬまで愛されなくて良い―
いつか、呟いた言葉。
それが、頭の中で反芻する。
(ああ……私、いつのまにか……)
愛していた。
好きじゃなくて、愛してたんだ。
相馬が他の女の人といるところを見るだけで、心がえぐれるほどに……私にとって、相馬はかけがえのない、“安心″を与えてくれる人になっていた。
沙耶が下唇を噛んで、俯くと。
「沙耶……」
私の様子に気づいた甲斐が、躊躇うように私の腕をつかむ。
「……なに?」
「なんか、相馬に用事があったんだろ?でも、見てわかるように、あいつ、見合い中なんだよ。言っとく。何て言えば……」
「ううん、いい」
被さるように、言った。
怖かった。
妊娠したから、どうすれば良いなんて、甲斐越しに聞くつもりはない。
そんなことをしたら、甲斐が困ってしまう。
「大した用事じゃないの。ちょっと、言いたいことがあっただけだから」
自分以外の女の人が、相馬と歩いてる。
たった、それだけで。