【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
■甲斐side□




一ヶ月前のあの日。


俺は、沙耶にあった。



「さよなら」


沙耶の涙を見て、甲斐は愕然としていた。

彼女が余韻を残し、走り去っていくのを見ていることしか出来ない自分は、ただ、ただ、沙耶が見せた“弱さ″を美しいと思っていた。


この世に生を受け、26年。

人を愛すことも、女を美しいと思うこともなかった人生の中で、初めて出逢った愛する女は前世でも因縁のあった失った女だった。

それが、紗夜華だ。

弱々しい雰囲気でありながら、生にしがみつくその姿が前世と重なり、惹かれた。

強くあろうと、涙を流す姿が美しいと思った。


愛してる。
それは、今も変わらない。

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