【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
だからこそ、わからない。
何故、別れを告げたのか。
あの様子では、すべてから消えるだろう。
わかって、無視した俺は非道なのか。
確かに、相馬は重い、重い、男だ。
恐らく、相馬に愛された女=沙耶は、他の男のことなど考える暇などないくらいに愛される。
深く、深く、愛されるんだ。
……想いさえ、通じあえば。
けれど、彼女を追いかけるのは相馬の役目だから。
来るもの拒まず、去るもの追わず――だった相馬の仕事だ。
沙耶を守り、愛し抜く。
そのためにどうすれば、再び、愛する女を腕の中に取り戻すことができるのか。
考えて、考えて、相馬が手を貸してほしいというのなら。貸してやろうと思う。
今までみたいに、嫌々ではなく、進んで。
仕事が他にも増えそうだと、思っていた。
沙耶は必ず、相馬に囚われる。……それは、絶対。
遠くない未来。
沙耶は相馬と共に笑っているだろう。
相馬は、しつこいから。
絶対に逃げられない。
彼女の消える理由がなんであろうと、相馬は全てを受け入れ、愛すだろう。
そんな、確信があったから。
面倒くさい夫婦(未定)の、これから先の未来に思いを馳せ、甲斐は溜め息をついた。