【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
□沙耶side■




愛してる。


認めてしまえば、愚かなほどに自覚した。


心が叫ぶ。


狂おしく、溢れている想いを。


「はっ……っ」


息を乱し、鞄をアスファルトに置くと、気づく。

――私の、全ては、無くなった。


「うっ……はあっ」


アスファルトに落ちる涙は、止まらない。

――もう一度、貴方に名前を呼んで欲しい。


「……ふう、うぅ……」


手で、押さえても、漏れる吐息。

――もう一度、抱き締めて欲しい。


「ぐぅ……」


暴れる熱は、沙耶の体の中を刺激する。


「はぁ、……」


無くなった。
無くなってしまった。
友人も、愛する人も、何もかも。


これでいい。
これでいいのだと、叫ぶ己の身の内で、ダメだといってくる。


言い聞かせるように、繰り返す。


「大丈夫。大丈夫……」


切れば、繋がることはない縁は、
私を感情的に縛り付ける。


失ったときの悲しみは計り知れないのに。

捨てた感情は、望まなかった想いは、私の死んだ心の一部を乱し、うずかせる。

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