【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
■直樹side□




僕には、可愛い奥さんと娘達がいる。


父親から受けついだ、“姫宮”を守ることが僕の仕事で、それ以外なら、院長を勤める姫宮総合病院を信頼してくれる患者さん達をみんな、治してあげること。


それが、僕の生き甲斐のひとつ。


そんな僕のほぼ、決まっている人生に予想外のことが起きた。


それが、妻との出会い。


二つ目は……


「……無茶をしないようにって言ったよね?」


目の前で小さくなる女の子……娘、夏翠の親友である黒橋沙耶。


「……ごめんなさい」


すべてを覚悟して、子を生むと言った彼女。


正直、生ませたくはない。


彼女自信が生まれてきたこの病院で、生まれてきた時から見ている彼女が子を生んで、死ぬなんて。


そんなところを、見たくはない。


でも、彼女の意思ならば、医者として尊重しなければならなくて。


< 394 / 759 >

この作品をシェア

pagetop