【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
けれど、女性はけろりとそう言った。
「…………へ?」
「私の名前は、鳴海美桜(なるみ みおう)」
自分を指差して、にこにこと笑う美桜。
「……」
その場のだれもが絶句した。
けど、ただひとりだけが不敵に笑っている。
「くっくっくっ、確かにな」
と、薫の祖父の雪だけが。
「あら、なににたいしてなの?お義父さん」
「あ?お前の娘だからってとこだよ」
「なるほど。相変わらず無駄に頭が切れますね。ふふ、雅さんみたい」
「そりゃ、当たりめーだ。雅は俺の息子だからな。 つか、お前の娘の桜も 千夏とお前に似過ぎだ」
雅さんはいつも常にスーツだったが、父親の雪さんは着物だ。
何かのこだわりなのかはわからない。
だが、千夏さんもずっと、着物だった。
「そりゃあたり前ですよ。 だって桜は私の娘で千夏さんの孫ですからね。どっちかって言うと、京に似てません?」
「あー……」
「ふふ、京は貴方には似てませんからね」
「……いや、どうだろな」
「狂気は似てるかな?」
「……余計なお世話だ」
軽口が飛び交うくらいには、仲の良い二人。
やはり、義理の親子だからだろうか。