【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「……桜は、助かる?」
夏翠がそう、尋ねると。
「それは、あなたたちの覚悟次第かな。覚悟、してる?」
と、美桜さんは笑った。
「そんなもの……とうの昔に!!」
強気に言い放つ夏翠は、震える手で飛鷹の服を掴んでいた。
月姫として、人を愛したあの日から。
月姫は、地獄に堕ちることを覚悟していた。
「……貴女もね、無理しすぎたのよ。眠っている間、整理できた?…………月姫」
美桜はそう呼んで、夏翠の額に手をあてがう。
「絶対に離しちゃダメよ?飛鷹」
飛鷹はそれにうなずくと、
「少しだけ我慢しろ。俺がいる」
と、夏翠に微笑む。
「ん」
夏翠の返事があったところで、美桜は。
「いくわよ?…………千年を駆ける千羽の鶴よ。此所に永久の忠誠を示し、月の夜に、再び、姫のもとへ舞い降りん」
夏翠が、意識を失った。
その姿は美しく、心配などではなく、ただ、引き付けられる感覚。
静かに目を開けた夏翠はもう、別人。