【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


「…待たせたの。皆のもの」


穏やかに微笑む彼女の神々しさは、人間の俺たちにも分かる。


元より、美しい夏翠は息も出来なくなるぐらいの美しさになっていた。


銀色の髪、金色の瞳。


本当に、美しい。


「姫、貴女が現世にお戻り遊ばされましたことを心からお喜び申します。どうぞ、この氷斗をお使いください」


「私、氷の巫女、千季も貴女に忠誠を」


先に一歩、前に出たのは氷の守護者。


「私もです。月姫様」


「……水の守護者である、水星のことを覚えていますか?私が愛した巫女の彩燐です」


続いて、水の守護聖も。


「……うむ、久しいの。みな、元気そうで何よりじゃ」


銀色の髪がなびき、黄金の瞳が愛しげに細められる。


薫より、少し低めな背。


「……みな、いるのじゃな」


月姫と呼ばれたその姫は、周りを見渡し微笑んだ。

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