【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
流石、“戮帝″。
なんて、グロいことをそんな美しい笑顔で……。
年を取っても、見た目が若くても、どんなに雰囲気が穏やかでも、やはり伝説を残す、冷酷非道の帝王様だ。
そんな絶対に最後まで聞いたら後悔する話を中断した雪を見て、月姫は残念そうに口を尖らせる。
「なんじゃ、もっと詳しく教えんか。つまらぬ」
うん、この姫も変わってるね。
相変わらず、変わり者の姫だ。
骨が逝ったとか、指を切り落とすとか、なんちゅーグロい話をしてんだ。この面子は。
しかも、笑顔で話すなよ。“戮帝″よ……。
「……一応、ここにいる巫女たちも女なんだよ。雪さん」
「ちょっ、一応じゃなくて、女の子!!」
水樹の言葉に千尋が突っ込む。
「女じゃと、駄目のかえ?おもしろいがのぉ……」
「姫!それはあなただけです!」
「そうなのかえ……?」
昔の日常がよみがえる。
忘れていた、遠ざかった昔が、戻ってくる。