【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


日記を閉じ、私は窓の外を眺めた。


クリスマスの近い、12月から、早くも二ヶ月。


相馬たちが桜を訪ねてくることも少なくなり、直樹さん……姫宮先生によると、当主との戦いに明け暮れているらしい。


巻き込まれた一般人の後や、壊された建造物などの修理、普段からの相馬の仕事に、極道の狭間での仕事……あいつ、寝ているんだろうか?


「……あら、あなたたちも心配?」


お腹を蹴られ、私は視線を落とした。


大きく膨らんだ、私のお腹。


本当、世の中のお母さんは偉大だ。 


子供を産むことが、こんなに大変だなんて私は知らなかった。


「大丈夫よ、相馬だもの」


そう言って、一人で笑う。


もうすぐ、予定日だ。


3月30日……この子たちが生まれるであろう日、そして、私の命が尽きるであろう日。


「あと、10日……」


一人で死んでいく。


それは、寂しいかもしれない。


けど、死ぬのは怖くない。


死にたくないけど、怖くはないの。


だって、朝陽がいるから。



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