【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
□桜side■



どのタイミングで?と、問われると、私は何も答えられなかったりする。


なんかふと、目を開けると、病院の天井が見えたんだ。


『もう、目覚めて良いんだよ……』


誰かにそういわれた気がしたけれど、それが誰だったのかなんて、私にはわからなくて。


でも、目覚めた今なら、わかる気がする。


「直樹さん」


「ん?……薫には今から、連絡するよ?」


白衣を身につけた、直樹さんは最後に見たときよりも歳を取っていた。


「フフ、直樹さん、年を取りましたね」


「え、そお?もう、44だしな……」


「優翠さんを待って、結婚したんですもんね?優翠さんは、36でしたっけ?」


「長い間、眠っていたくせに詳しいな……」


「ええ、でしょう?記憶力には自信がありますから」


なんて、言うけれど。


≪桜≫


私は、目の前にいる“それ”の存在が気になって、気になって、誰なのか、わからなくて。


昔から、霊感はあった。


これが焔棠の人間に生まれてきことが原因の力なのかはわからなかった。


普段は、見える人が誰なのかはわかるのに。


目の前で私の名前を呼ぶ、優しそうな青年は私の元に来ると、私の頭を優しく撫でる。


「……桜ちゃん?」


それに見とれていると、直樹さんに声をかけられる。


雰囲気からして、直樹さんには見えていないから……やっぱり、霊魂なのだろう。


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