【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


相馬の力は、生命だ。


少しだけ分けてもらって、この世に留まっている彼らが最も逢いたい人と触れ合わせたい。


私の力は、体を失った人に一時的に体を与えてあげること、だから。


でも、そう考えると、勿論、おかしいところにも気づいてしまう。


普通、死んだ人はこの世に留まれない。


誰かに“留まらせて貰わない”と、留まれないのだ。


死んだら、彼らは冥府に行き、地獄と天国に別れるんだから。


そんなことが……霊魂をこの世に引き留められる力をもつ人間は、私は一人しか知らない。


そう、彼しか……


「桜!」


「えっ……お祖父ちゃん!?」


思い出していて、現れてくれた祖父。


桜と薫の祖父であり、焔棠の現組長を務める、“戮帝”の焔棠雪(えんどう せつ)だ。

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