【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
≪雪……≫
嗚呼、あの人の声も聞こえる。
皆、逢いに来たんだ。
当主のすべてを見届けるために、
愛しい人に、安らかな眠りを与えるために。
「もうすぐ、だから……」
「え?」
不思議そうなお祖父ちゃんに、私は微笑んだ。
「逢わせてあげるからね」
そう言えば、お祖父ちゃんは首をかしげた。
「誰と話しているんだ?」
お祖父ちゃんは、私の能力を知っている。
だから、大抵、私が一人で呟いているときは、見えない霊魂と話していると思ってくれる。
まぁ、その相手が、自分の最愛の妻と息子とは思わないだろうけど。
「……ねぇ、お祖父ちゃん」
「ん?」
昔は、取っつきにくい性格で。
お祖母ちゃんと出逢ってから、表情の増えたと言うお祖父ちゃんは、優しい顔で私を見た。
「おじいちゃんさ、お祖母ちゃんが亡くなった辺りで、不老以外の力を使った?」
彼が使っていないのなら、なんで、お祖母ちゃんが……お父さん、伯父さん、伯母さんが、この世に留まっているのかが説明できなくなる。
尋ねると、お祖父ちゃんは首をかしげて。
「いや、使ってないと思うが。なんでだ?」
「使ってないと思う?どういうこと?」
やけに他人口調な祖父は、気まずそうに目を反らし……呟いた。
「あの頃、とことん壊滅させていたから、記憶ねぇんだよ……何をしていたかも、曖昧だ。だから、たぶん、使ってないと思う」
(……使ったな、こりゃ)
焔棠家の男の特徴は、興味のないことは本当に視界に入らないというところである。