【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「そう……」
月の守り人。
即ち、この世で表すのなら、僧みたいなもの。
「……ところで、夕蘭はそなたにとって、大事な子か?」
相馬たちがいるであろう病室の方を見て、月耀は夏翠に尋ねた。
夏翠は深く頷いて。
「ええ。大事な子よ。とっても……私達にとって。我慢することが上手で、本当の感情をあまり表に出さない子。人のことは救うのに、自分のことはほったらかしで、自分のことに鈍い人。たぶん、本当は、甘えん坊なのに本当の自分を見せることを恐れて、本当の自分というものを、私たちに見せてくれない子。……まだまだ、知りたいことはたくさんあるし、桜だって、沙耶とは親友になれると思う」
沙耶に“救われた”夏翠は、笑う。
沙耶に“変えられた”相馬がいる方角を見て。
「沙耶は柱みたいなものよ。相馬を支えている、大きな柱。相馬を見ていればわかるけど……相馬の生きる意味は沙耶がいるからで、相馬の原動力は沙耶の笑顔だもの。相馬の周囲にいた、女の人たちとは違う。沙耶は……蝋燭みたいな子」
「蝋燭?」
俺は思わず、聞き返した。
夏翠は微笑して……口を開いた。