【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


「沙耶だけは、相馬に言わなかった。あなたはなにも悪くない、その一言は」


言わなかった。


言うような、子ではなかった。


儚い美しさを持つのに、全然、弱さなんてわからないくらいになかった沙耶は言った。


『あなたのお母さんしか知らない真実をいくら考えたって、わかるはずがないでしょう?周囲の人間が言うように、確かに相馬は悪くないのかも。でも、幸せでも同じだけどさ、それは人の感情だから。人によって、違うから。私にとって笑い飛ばせることでも、もしかしたら、相馬を自殺に追い込むようなことかもしれない。わからないんだよ。人の感情なんて。だったら、考えるより、まず、行動よね』


決して、『悪くない』と、相馬の味方はしなかった。


悪いことは悪い、良いことは良い。


はっきりさせる沙耶は、常に笑っているから。

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