【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
『……草志』
目の前に現れた人に微笑むと、草志も笑う。
『おいで、夕蘭』
伸ばされた腕。
“私″はそれに触れられないけれど。
『草志……逢いたかった……っ!』
“貴女″は、触れられるから。
『夕蘭……』
愛する人を力強く抱き締めて、手離すまいと愛しているんだと、全身で叫ぶように、“貴女″は私から離れてく。
『ありがとう。沙耶』
優しく、美しく、微笑んで。
主のために、愛する人のために、命を燃やし、儚く、美しく散った巫女。
『ええ。どうか、幸せに……』
私が生きていく世界では、私は幸せになれるように努力するから。
だから、どうか。
あの世では、貴女が。
“異世界″では、貴女がそばにいてあげて。
もう二度と、彼に悲しい思いをさせないで。
彼を置いて、逝かないで。
私は、相馬のそばにいたい。
でも、たぶん、いることはできない。
生き返っても、返らなくても。
そして、草志のそばにもいれないから。
私の代わりに、夕蘭、貴女がね?
私の大事な愛する人の分身を、どうか、どうか、よろしくお願いします。