【完】☆真実の“愛”―君だけを―2

真実の過去

□京子side■



「……なんで、いるんや……」


京子は愕然とした。


目の前の男性に。


悠仁がいきなり現れたときよりも、信じられない存在がそこにはいた。


「やっほー、京子、元気そうだね」


「千華(ちか)ちゃん、これはどういうことや?」


気まずそうな、男。


「ん?たまたま、旅先で会ったんだよ。ねぇ、お兄ちゃん」


千華ちゃんが笑いかけた相手、それは間違いなく、母さんを捨てた、私の父親であり、相馬の父親の御園春馬(みその はるま)で。


「私から逃げたから取っ捕まえたついでに、相馬達に会いに来たの。兄さん達が、お兄ちゃんを見つけたら、引きずってでも、連れて帰れって御指令だったもんで」


家のしたきりが嫌だと言って、家を捨て、海外を飛び回っている私の叔母は、ニッコリと笑みを深め、私の頭を撫でた。

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