【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
□千華side■




目の前は当たり前だけど、険悪。


嫌な雰囲気である。


「お帰りなさい、父さん」


横にいる男の手をしっかりと握り、兄さん……じゃなかった、私の兄で、京子の父親だから……父親である春馬を、真っ直ぐに見つめた。



いや……見つめていると言うより、睨んでいる?


怖がりな兄さんは、娘の視線に怯えて……


「……京子、睨まないであげてよ。そりゃ、私も再会したばっかの時は、睨みまくったさ、そりゃ、ね?兄弟の縁を切ろうかと考えたくらいに……」


「切るもなにも、千華ちゃん、家におらんやん」


「……」


ぐうの音も出ません。


「……まぁ、それは置いといて!私が、ここに兄さんを連れてきたのは、兄さんが全部話すって言ってくれたからなの。だから、まずは、話を聞いてあげて?」


「……ついでに時間短縮で、兄さんにも会わせて、ちゃちゃっと終わらせちゃおうってのも、本心ですよね?」


「……」


なんで、京子は、こんなにも鋭いんだか。


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