【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「……まぁ、ええ。言い訳を聞くつもりはなかったんやけど……話は聞いちゃる」
逞しくなった姪っ子は、私達に背を向けて。
「紅月の間で、まっとってな」
と、男と共に姿を消した。
「お嬢」
すると、現れたのは、かつての私の護衛。
「久し振りね、瑠樹(るき)」
久しぶりに会ったというのに、彼は厳しい顔で、私に詰め寄った。
「計算済みでしょう、お嬢。陽希さまも、陽向さまも、水樹さまや、氷月さまがいることを知り、帰ってこられた。話とは……あれをするおつもりで?」
「よくわかっているじゃない。そうよ、私は調べてからきたの。話だって、電話でしたでしょ?あれが、真実。やっぱり、和子さんは最低な母親で、女だったよね」
瑠樹は息を呑む。
「……っ」
「分かっているわ。御園の、この家の重圧が、彼女を変えたってことくらい」
分かっているから、ダメなんだよ。
「兄さんは、あの人のために存在した人形なんかじゃないの。ちゃんと感情を持った、人間だったの。なのに、利用されて……」
視線を動かせば、呆然と自分の手を見つめる兄さんが目に入った。
自分のしてしまった罪の重さ。
無意味に産み出してしまった、命の多さ。
傷つけた分まで背負おうとした、心優しい人。