【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


「兄さん、もう、大丈夫よ。今日は、相馬はいないから……だから、今日は、他の子供達に、陽兄さん達に話そう?」


兄さんが一番、罪悪感を感じている相手、それが、相馬だった。


もし、和子さんが生きていたならば、一番に、兄さんが和子さんを殺したであろう。


「……まだ、苦しんでいるのかな」


同じ顔の息子を案じ、表情に影を落とす兄の手に触れて。


「大丈夫よ。相馬なら、大丈夫……愛する人を見つけたから」


陽兄さん達の知らせで、今は、その愛した人の傍らについているのだと聞く。


「……違うんだ、違うんだよ。千華」


私の手を振り払って、自身の顔を覆う兄さん。



「僕は子供に拒絶されようが、一向に構わない。僕が起こしてしまった、負の連鎖なのだから。でも……相馬は傷ついていないかな?僕の記憶には、彼が泣いているのしかないんだ。いつだって、和子の背中を追って、泣いてばかりの小さな……」


「兄さん……っ、兄さん!」


「僕が見棄てた。守ってあげなければならなかったのに、僕が見捨てたんだ!」


震え、涙する兄は、こんなにも弱かったのに。


あの女の幻想に付き合い、ここまで、深い傷を負ってしまった。


再婚することもせず、この20年、ただ、ただ、懺悔する日々。


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