【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「だから、俺が守ることができたんだ。でも……」
仕事から帰ってくるなり、和子は相馬を見ていった。
「『この子は、うちの子やない。うちにも、はるくんにも似てへん!』……衝撃的だったよ。兄弟と言えど、全部が全部、一緒のわけじゃない。俺に似てしまった、陽希兄さんに似なかった相馬は和子に嫌われた」
父さんの口から語られるものは、私が見てきた母親とは遠く離れるもので。
信じられなくて。
「俺は自分に似てしまった、相馬が可哀相……じゃなくて、相馬に申し訳なくて仕方がなかった。俺に似てしまったせいで、こいつは母親に“棄てられたんだ”と思った」
けど、母さんの相馬に対する態度は、確かに、父さんが語ることそのままの通りだった。
「……その時期は、俺たちはまだ、ここにいたはずだ。母さんだって、生きていたし……何で、言わなかったんだ?言ってくれたら、対処の仕様があった。何より、母さんに相馬を育ててもらうっててもあっただろう?」
話を聞いていた陽向おじさんが、父さんに問いた。
すると。
「相談して…っ、何になる!?」
彼は、苦しげにそう言った。