【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「いや、だから……対処を……」
「…………和子は兄さんを愛しているから、妻を捨てて、和子と一緒になってやってくれとでも言えば良かったのか?」
ビクリ、と、魅雨が震えた。
彼女は、一度、親に捨てられている。
行き場なく、施設に住んでいたところを陽希おじさんが引き取り、妻にした。
「……無理だろう?昔から、御園家では女が裏で活動していた。それが当たり前で、その女たちは子供を成し、次の世代に舞を伝承するまでが役目だった。でも、時が経つほどに、女の数は少なくなっていって……あの時、存在していた御園家の直系の女は、和子と千華だけだった!」
それだけ、貴重な存在で。
だからこそ、とても大切に育てられるのだ。
欲しいものは、なんでも与えられ、不自由を感じることなどない、そんな生活。
私も経験者だから、わかる。
異常な目でこちらを見る、身内。
舞の力が大事なものだと分かっているけれど、結婚も、何もかも、私達は家に左右される。
自由がない生活のなかでできることは、壊れることだけ。
代々の御園家の人間は壊れ、男なら鬼化。
女なら精神不安定。
そうなることで、人間の自分を捨てることで家を守ってきたんだ。
相手を壊すことで、生きてきて……正気を保てる人間がいたのは、私が、ここに壊れずに生きているのは、愛する人を、心から、愛してくれる人を見つけたからだ。