【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
陽希伯父さんも、陽向伯父さんも、圭介さんや、陽介さん、稜さんも、みんな……相馬だって、愛する人間を見つけたことで、自身を保ってきたんだ。
「……精神的不安定になった和子は、とうとう、相馬に手をあげ始めた。俺が、『はるくん』に見えなくなってきたのと……」
「……と?」
震える声で、陽希おじさんが先を促す。
「『私から、はるくんを奪わんで!』……ああ、もうだめだ。俺は、守ってやれないと思ったよ。相馬が二歳の時、水樹と氷月が生まれたけど……その二人も、やっぱり、兄さんたちに似ていた。だから、俺が『はるくん』じゃないと、和子は気づいてくれなかった。だから、相馬が三歳の頃に、俺は家を出た。逃げた訳じゃない。兄さんの後を追ったんだ」
父さんが出ていく、少し前のこと。
陽希伯父さんと陽向伯父さんと総司叔父さんは、御園の人間として、世界を飛び回るため、家を出ていた。
「もう少し、早くに言っておけば良かった。そうすれば、兄さんたちのうち、誰かが残ってくれたかもしれないのにって」
後悔しても、仕方がない。
弱い人間だって知っていたからこそ、父さんは相馬に言い残したんだ。