【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


「これでも一応、御園の人間だからね。兄さんたちの居場所はすぐにわかったんだ。わかりは、したんだ……そこに辿り着けなかっただけで」


「辿り着けなかった?」


どういうことだろうか。


そういうものは、すべて配慮してあるはずだが。


紛いもなく、父は御園の人間だ。


一応、御園のものは自由に使えるはずだ。


なのに、辿り着けなかった?


「俺達は、そんな報告を受けていないが」


不思議に思っていると、陽向伯父さんが冷静に言った。


「伝えてもらうようにお願いした。でも、届かなかった。和子が、手を回してて」


「……っ!」


「相馬を捨て、独り身になって、自分は、今まで何をしていたのかと、自分の好きなことを始めてみても良いのかと、悩んでいる間、情報で腕の良いはずの御園が使い物にならなかった理由を調べたんだ。すると、和子が出てきて……御園の人間じゃなく、和子に買収された人間たちが、御園を揺るがす情報を扱っていた」


「とことん、堕ちていったんだよ。和子さんは……自分の弱さに、この家の闇に呑み込まれて」


兄さんと、千華ちゃんの話……それが本当なら、母さんは御園家の“裏切りもの”で、最も犯してはいけない“大罪”を犯していたことになる。

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