【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「僕達は、愛を知らなかった。僕は幼い頃、母親から少しだけ、愛をもらった。ユイラは、僕の与えた愛しか知らん。そんな親に育てられた沙耶は、君の愛を受けて、咲くことが出来たんやと思うと……君らがこれから、どんな決断をしても、僕らはもう、何も言わへんから。好きに生き?」
沙耶を愛す、人がいる。
沙耶を想う、人がいる。
それだけで、俺は自分のことのように嬉しくて。
「……ありがとうございます」
再度、深く、頭を下げた。
すると、優しく、頭を撫でられる。
「……せや、これ、うちで見つけたんやけどな?」
俺の頭を撫で、思い出したように言った健斗さんは、俺に一通の手紙を差し出した。
差出人は、勿論、沙耶で。
封筒には、―21歳になった相馬へ―と、書いてある。
子供たち宛の手紙はたくさん見つけたが、俺宛は、あの一通のみで。
別に、沙耶の想いを知れたから、悲しくはなかったが……まさか、実家に他にもあったとは。
それが沙耶にとって隠しておきたいものだったとしても、ちゃんと、隠していなかった方が悪いと言うことで、俺は問答無用で開封した。