【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


「……何て、書いてあったん?」


読み終え、俺が封筒にそれを仕舞うと、健斗さんが笑いながら尋ねてきて。


「とっても、良いことが書いてありました」


俺は、そう返した。


「そういや、君、今日、誕生日なんやろ?おめでとぉ」


「あ、ありがとうございます」


好きな女の父親からもらう祝いの言葉は、なんだか照れ臭くて。


「まだ、21かぁ……羨ましいなぁ」


「俺も、すぐに年を取りますよ」


沙耶と出逢ってから、長いようで短かった、二年間。


その間に、俺は永遠の人を愛した。


「せやなぁ……そんなに、寝てないんやったら、過労死するかもなぁ……」


「……寝てますよ。ちゃんと」


「……そうなんか?やけに、仕事が早いんやけど」


全面的に、御園と関わりを持つ、黒橋グループの社長である健斗さんは、苦笑した。


「あの早さは、異常やで?そら、御園の人間が優秀なのはわかっとうけど、君の仕事の回り方が、ほんに異常や。……暫く、沙耶も悠哉も茅耶も見ててやるから、一旦、家に帰り?で、君が必要なものをまとめくれば、ええ。な?」


彼は、大人だ。


俺よりも、何倍も生きた。


だからこそ、彼は心配しているのだろう。


俺がまだ、健斗さんから見れば、子供だから。

< 532 / 759 >

この作品をシェア

pagetop